暖かく無関心なホッとする人(P君)2530話

 午後8時、イノッチはサッシーにOKと言われて、心臓がドキドキした。
サッシー 「イノッチは私のストライクゾーンだよ。つまり結婚を考える人に入る。」
イノッチ 「ということは結婚を前提としたお付き合いをしてくれるってこと?」
サッシー 「当たり前。でなければ付き合わないよ。」
イノッチ 「僕なんかでいいんですか?」
サッシー 「いいに決まってるでしょ。その弱気なところが今まで彼女が出来なかった
      原因。もっと強気で俺言葉で行けば、彼女なんてすぐ出来たはず。V6の
      イノッチは女優の瀬戸朝香と結婚したでしょ。彼女は美人だけどイノッチは
      キムタクみたいな二枚目じゃない。イノッチが彼女を落としたのは多分彼の
      熱意と執念だったと思う。ああ見えて熱い男だと思うよ。だからイノッチ
      みたいな熱い男になってね。」
イノッチ 「まかせて。」
                                    つづく

暖かく無関心なホッとする人(P君)2529話

 午後7時、
イノッチ 「もう7時だけど、何時までここにいられるかな?」
サッシー 「私の住んでいるアパートはここから車で30分ぐらいだから、9時頃までなら
      大丈夫だと思う。」
イノッチ 「わかった。じゃあ9時ごろ店を出よう。それまで何か追加しないと。」
サッシー 「じゃあ、アルコール類抜きだから、そうだね。イノッチは何がいい?」
イノッチ「僕はアルコールは飲まないんだけど焼き鳥が好きでね。」
サッシー 「じゃあ、焼き鳥とお茶でいいかな?」
イノッチ 「わるいね。すみません!」
店員 「追加ですか?」
イノッチ 「ええ、焼き鳥のネギま2本と塩2本とレバー2本お願いします。」
サッシー 「こうすればもうしばらくここにいられるよね。」
イノッチ 「うん。サッシーはミスチルが好きなの?」
サッシー 「まあね。中学生からファンだけど、気がつくとずっと好き。イノッチは?」
イノッチ 「自分は小学生のころ「若者のすべて」というTVドラマの主題歌でミスチル
      のTomorrow never knows を知ってそれからですかね。」             そのとき焼き鳥が運ばれて来た。--------
サッシー 「イノッチはどんなタイプの女性が好きなの?」
イノッチ 「最初そのドラマに出ていた鈴木杏樹が好きだったんですけど、それから
      ドラマGood luckで柴咲コウが好きになって、それから北川景子になって
      それから乃木坂46の白石麻衣のファンになって、それから。」
サッシー「ちょっと待って要するにその時流行っている人のファンになってしまうんだ。
イノッチ 「そういわれてみればそうだね。」
サッシー 「そんなにころころ変わるんじゃ、一人に絞って付き合うことは無理。そんな
     きれいな女優さんにばかり憧れていたら、いつまでたっても結婚できないよ。
     イノッチに確実に彼女を作る秘訣を教えてあげる。」
イノッチ 「そんな方法あるんですか?」
サッシー 「それがあるんだ。それは自分のことを好きになってくれる人を彼女にするっ  
      てこと。」
イノッチ 「確かに。それができれば誰も苦労しないね。」
サッシー 「それが早く出来る人は20代前半で結婚できるんじゃない。」
イノッチ 「僕の事ばかり聞くね、サッシーは誰のファンだったの?」
サッシー 「恥ずかしながら最近までキムタクのファンだった。でも会社で私より美人の
      最初、波留に似ている加藤里香が結婚して、三井と川合が婚約して、皆
      私より年下なんだよ。しかも相手の男性はあんまりいけてない人ばかり。」
イノッチ 「そうだね。リーナも檜山もアリスちゃんも美人だよね。」
サッシー「でしょ。だから相手の外見じゃないんだよね、結婚相手は。今頃気が付いた。
      キムタクにこだわっていいのは二十歳までだよ。イノッチはOKだよ。」
イノッチ 「えっ、OKってなんですか?」
                                     つづく

暖かく無関心なホッとする人(P君)2528話

 午後6時、
イノッチ 「焼き肉で思い出した。まだひと月も先の話だけど、十月の第一日曜は
      イベント青年会と言って、何かイベントをするんだ。他の日曜日は
      スタンダード青年会と言ってお昼を一緒に食べるだけだけど。十月は
      バーベキュー大会なんだ。サッシーも行くんだよね。」
サッシー 「もちろん行くに決ってるでしょ。それよりイノッチと二人だけでデート
      したい。今度の週末の土曜日どこかに行こ。」
イノッチ 「わかった。それにしても積極的だね。」
サッシー 「だって私たち31と33だよ。ぐずぐずしていたら1年なんてすぐ過ぎちゃうよ
      。ねえ、どこに行きたい?」
イノッチ 「女の子とデートしたことないから迷うよ。」
サッシー 「じゃあ、私の理想のデートを教えてあげる。」
イノッチ 「えっ、なになに?」
サッシー 「それはね、一緒にコンビニに買い物に行って、それを近くの公園のベンチに
      座って、「寒いね。」とか言って、買ってきた食べ物を食べるの?」
イノッチ 「それは思いつかなかった。デートと言えば一緒に映画観に行くとか。遊園地
      にいくとか。そんなのだと思っていた。それにまだそんなに寒くないよ。」
サッシー 「寒いね。って言ったのはそういう場合のこと。デートって何かお金を使う 
      ことじゃなくて、相手のことをもっとよく知りたいことなの。一緒に映画を
      黙って観てたって相手の事なんて少しもわからないでしょ。」
イノッチ 「確かにそうだね。」
サッシー 「それより、相手のことをよく知るには高級レストランで食事なんて必要ない
      と思う。まあ私の場合、婚活で仕方なくそういう場所で紹介された男性と
      会食をよくしたけど、それって他の人が計画したものでしょ。少しも恋に
      落ちて追っかけて、なんとかしてこっちを振り向かせる要素がないんだ。」
イノッチ 「こういうのはどうかな?今度の土曜日に今朝檜山と待ち合わせをした荻窪
      駅前のコンビニに、今度は俺と午前9時に待ち合わせをして無計画デートを
      するのって。何が起きるかはそのときのお楽しみ。」
サッシー 「いいそれ。なんかドキドキする。」
                                     つづく