暖かく無関心なホッとする人(P君)2528話

 午後6時、
イノッチ 「焼き肉で思い出した。まだひと月も先の話だけど、十月の第一日曜は
      イベント青年会と言って、何かイベントをするんだ。他の日曜日は
      スタンダード青年会と言ってお昼を一緒に食べるだけだけど。十月は
      バーベキュー大会なんだ。サッシーも行くんだよね。」
サッシー 「もちろん行くに決ってるでしょ。それよりイノッチと二人だけでデート
      したい。今度の週末の土曜日どこかに行こ。」
イノッチ 「わかった。それにしても積極的だね。」
サッシー 「だって私たち31と33だよ。ぐずぐずしていたら1年なんてすぐ過ぎちゃうよ
      。ねえ、どこに行きたい?」
イノッチ 「女の子とデートしたことないから迷うよ。」
サッシー 「じゃあ、私の理想のデートを教えてあげる。」
イノッチ 「えっ、なになに?」
サッシー 「それはね、一緒にコンビニに買い物に行って、それを近くの公園のベンチに
      座って、「寒いね。」とか言って、買ってきた食べ物を食べるの?」
イノッチ 「それは思いつかなかった。デートと言えば一緒に映画観に行くとか。遊園地
      にいくとか。そんなのだと思っていた。それにまだそんなに寒くないよ。」
サッシー 「寒いね。って言ったのはそういう場合のこと。デートって何かお金を使う 
      ことじゃなくて、相手のことをもっとよく知りたいことなの。一緒に映画を
      黙って観てたって相手の事なんて少しもわからないでしょ。」
イノッチ 「確かにそうだね。」
サッシー 「それより、相手のことをよく知るには高級レストランで食事なんて必要ない
      と思う。まあ私の場合、婚活で仕方なくそういう場所で紹介された男性と
      会食をよくしたけど、それって他の人が計画したものでしょ。少しも恋に
      落ちて追っかけて、なんとかしてこっちを振り向かせる要素がないんだ。」
イノッチ 「こういうのはどうかな?今度の土曜日に今朝檜山と待ち合わせをした荻窪
      駅前のコンビニに、今度は俺と午前9時に待ち合わせをして無計画デートを
      するのって。何が起きるかはそのときのお楽しみ。」
サッシー 「いいそれ。なんかドキドキする。」
                                     つづく