暖かく無関心なホッとする人(P君)2844話

 午後4時30分、
D君 「リーナ、何時にここを出ればいいかな?」
リーナ 「うーん、そうねえ。実家までここから車で30分だから、5時にここを出れば
     5時半には着くから、着いたらすぐカレーを作れば6時15分頃には食べれる
     んじゃないかな。」
D君 「そうだね。じゃあここを5時に出ればいいから、まだ30分あるね。」そう言って
またまったりしはじめた。次に思い出したのは、ニュースの京都アニメーションの事
だった。確か「涼宮ハルヒの憂鬱」や「けいおん」のアニメはここで作られたと思う。
そういえば「涼宮ハルヒの憂鬱」は、まだ大学生のころよく見てたな。あれからもう
15年も経つのか。わがままなハルヒによくもまあキョンはついて行ったな。何の意志
もないキョンだからこそハルヒに付き合えたんだと思う。キョンのような人しかハルヒ
と付き合えないだろう。言ってみればハルヒは剛速球は投げるけどノーコンのピッチャー
、その何処に飛んでくるかわからない速球を捕球する名キャッチャーがキョン、という
所だろう。名バッテリーだよな。夫婦でいえばリーナがピッチャー、それで僕がキョン
のようなキャッチャー。でもリーナは結構コントロールがいいから捕球するのは楽だ。
どっちにしろ妻がピッチャー、亭主がキャッチャー、これさえ覚えていれば夫婦は上手く
いく。そんなことを思っていた。
                                   つづく

暖かく無関心なホッとする人(P君)2843話

 D君は続けて考えていた。(旧約聖書で父なる神様は、繰り返し「心を頑なにしては
いけない。」と言っている。にもかかわらずエジプトを脱出したイスラエルの民は
事あるごとに心を頑なにした。頑なって言うことは、つまり自分の考えにこだわって
他人が「こうした方がいいよ。」ってアドバイスしても、その考えを少しも聞こうとしない状態。自分の考えでパソコンがフリーズした状態。こうなるとにっちもさっちもいかない。この状態になるとどうしようもない。とにかくフリーズした画面を元に戻すのが先決
。これが悔い改めだろう。思い出したのは民数記で、カナンの地の直前まで来たイスラエルの民に神様は「攻め上れ。」と言ったのに、イスラエルの民はカレブとヨシュアを除いて心を頑なにして「あの地の民は巨人でとてもじゃないが勝てない。」と思い、神様の
御言葉に逆らった。これは代表的な心を頑なにした状態だ。この状態を神様は非常に嫌う
。こうなると神様は怒ってその人から離れ去る。フリーズだ。この時まずやらなければいけないことは悔い改めだ。すると神様は再び元の状態に戻して下さる。頑なにならないようになるには、自分の考えを持たないことだ。それで思い出したのは新約の福音書で
イエス様は「幼子のようにならないと神の国に入ることはできない。」と言ったことだ。
幼子は自分の考えを持っていない。誰かの言ったことを素直にその通りするだけだ。
そのときなぜか車がカーブするときを思い出した。一見この二つはなんの関係も無いような気がするがD君は知っている。この二つを脳のシナプスで繋ぎ合わせると、なるほど、と言うことになる。D君は車が好きだが、そんなに車のメカニズムに詳しくなかった。
車がなぜカーブできるか?なんて考えたことが無かった。でもよく考えてみると、ものすごく不思議なことに気が付いた。だってFFの車がカーブする時、もし右折だったら右の前輪の回転数と左の前輪の回転数は違う、左の前輪の方が忙しく回らないと車はカーブ
できない。つまりエンジンで作られた動力は左右の前輪が必要な分ずつ割り振らないと
いけない。少し車に詳しい人なら、「それはデファレンシャルギアのおかげだよ。」と
簡単にわかるけど、女性にこれを説明するのは難しい。(興味のある人は「ディファレンシャルギア」で検索してください。)このときこの二つのシナプスが結び付いた。
デファレンシャルギアの中心にスパイダーギアと言う富士山のような不思議な形のギアが
組み込まれている。このギアを考えた人は天才だ。このギアがあるおかげで左右の前輪が
必要な分だけ違う回転力、回転数が割り振られる。まるで生きている天才仲介者みたいだ
。このギアは全くフリーなギアだ。ハンドルの動くまま右に左に回転する、自分の意志はない。わかった。このギアのような心の状態を父なる神様も望んでいるんだ。これは
頑なな心の状態と全く逆だ。もしこのデファレンシャルギアが無かったら車はカーブできない。それほど重要なギアだ。これで一見無関係な二つが結びついた。神様はこのギアの
ように自分の意志を持たないフリーギアになってもらいたいんだ。考えてみれば始めから
自分の意志が無かったら、神様の言われるままに動けるから悩むこともないしストレスも
ない。)そんなことを思っていた。
                                     つづく

暖かく無関心なホッとする人(P君)2842話

 7/28(日)午後4時、D君は午前の礼拝、3時のスターバックスのお茶の後、アパートに帰って来てからリーナの実家に行くまでちょっと時間があるので食堂のTVをボーっと見ながら、まったり休んで考えていた。
D君 (この平成の終わりから令和の始めにかけて、世の中も身の回りも目まぐるしく
    変わって行った。TVのニュースを見れば悲惨な事件ばかりだ。まず幼稚園児を
    狙った無差別殺人、続いて元国家公務員事務次官まで上り詰めた父親がその息子
    を殺すという事件、そして京都アニメーションのビルの放火殺人事件。芸能界で
    はジャニーズ事務所のジャニー喜多川さんの死去、吉本興行の問題。めまぐる 
    しくいろんな問題が起きてきた。まるで平成末期まで噴火を我慢していた活火山
    が令和になって大噴火を起こして、人々の目に触れて来たようだ。でも個人的に
    暗いニュースばかりじゃない、同じ会社の後輩唐沢がコーちゃん27歳の誕生日
    にプロポーズして見事OKをもらった。二人ともまだ洗礼は受けていないけど、
    教会の礼拝、青年会には続けて来ている。このまま教会に来続けて、二人とも
    洗礼を受けてから教会で結婚式を挙げるだろう。樗澤さんも熱心に教会に来てい
    る。最近は木曜の夜の祈祷会にも出席しているそうだ。令和になってから車で
    迎えに行かないでいいようになった。自分で車で来るようになった。あれだけ
    お酒が好きだったのに最近はほとんど飲まなくなったそうだ。樗澤さんいわく
    「以前は酒でも飲まないと、やってられないことだらけだったけど、教会に行く
    ようになってから、あんまり酒を飲みたいと思わなくなったんだよ。」と笑なが
    ら話していた。樗澤さんも近いうちに洗礼を受けるだろう。それと何よりうれし
    思ったのは、信仰の意味がよく分かったことだ。今まで信仰って何かにより頼む
    ことだと思っていた。クリスチャンの場合、イエス様により頼むこと。確かに
    そうなんだけど、それ以外にも意味があるって閃いた。それは何か悩むことが
    ある場合、そのことを悩みに悩んで相手に「こう言おう。」と思い、神様に祈っ
    たとしても、まだそのことを悩んでいるなら、手に持ったバトンを相手に渡して
    いないのと同じだ。つまり相手を信頼していない。これは次の走者に対して酷く
    失礼なことをしていることになる。これと同じことを神様に祈った後も悩みつづ
    けるクリスチャンも中にはいる。わかった。祈るってことはバトンを神様に渡す
    ことなんだ。そのあとは悩んじゃいけないんだ。悩むってことはまだちゃんと
    神様にバトンを渡していないからなんだ。
                                     つづく