暖かく無関心なホッとする人(P君)2851話

 午後7時30分、D君とリーナはアパートで夕飯のそうめんと野菜サラダを食べ終え
TVを見ながらくつろいでいた。
リーナ 「夕方、妹から電話がきて、妹が言うには同じ大学に通う親友が今度
     美香が行っている教会に行きたいんだって。彼女かなり悩んでいて、まあ
     理由はミカも分からないんだけど、それは個人情報だから誰も聞いちゃいけ
     ないことだよね。」
D君 「そうだよ。とにかく何かで彼女は傷ついているから、傷口に触れないよう何も
   質問しちゃいけないんだ。そういう人にはどう接すればいいか知ってる?」
リーナ 「どうすればいいの?」
D君 「前に本で読んだことがあるんだけど、「暖かく無関心に接すればいいんだ。」
リーナ 「暖かく無関心?」
D君 「そうなんだ。一見矛盾しているように聞こえるかもしれないけど、簡単なことだ
    よ。相手を宇宙人ぐらいにしか思わないで、ただ最近話題になっているニュース
    とか。自分の話題を話せばいいんだ。間違っても相手の年齢とか家族構成とか
    どこに住んでるかとか聞いちゃいけないよ。警察じゃないんだから。そんなこと
    聞けば、その人は心を閉ざしちゃうからね。せっかく教会に行きたくなったんだ
    からね。その人が過去どういう人だったかなんてどうでもいいんだ。許される
    っていうことは、ノートに鉛筆で間違えて書いた字を消しゴムで消すような事
    なんだ。」
                                    つづく

暖かく無関心なホッとする人(P君)2850話

 8/1(木)正午、D君は午前の仕事を終え、ディスクを離れ、、、、事務所を出て
、、、、エレベーターに乗り、、、、、、、、1Fで降り、、、、オフィスビルを
憂鬱な気分で出ようと歩いていた。、、、、、、、、「今朝の天気予報で東京は昨日より
暑くなり35°近くまで上がるそうだ。このビルの中は26°ぐらいだから一気に10°も上がるんだ。これじゃ体がおかしくなって不思議じゃない。彼は意を決してビルの玄関にある
自動ドアを出た。その瞬間、ムアーという熱気と不快感が彼の身体を襲った。「やれやれ
これならずっとオフィスにいた方がましだけど、仕方ないダッシュでお昼を食べに行くか
。」彼は100mぐらい離れた、いつもの蕎麦屋に走って行った。、、、、、、、、
 ガラガラ
店員 「いらっしゃいませ。」D君はいつも座る奥の席に歩いて行った。、、、、、、、
席に着くと、店員がオボンに乗せた氷入りの水の入ったコップを持ってきた。
店員 「ご注文はお決まりですか?」D君はしばらく考えた。(昨日はざる蕎麦だった。
蕎麦は好きだけど毎日蕎麦だとさすがに飽きるよな。)
D君 「すみません。冷やし中華で。あとでアイスコーヒーもお願いします。」
、、、、、、、、、、、、、、、、
D君はテーブルに置いてあるコップの水を1/3ぐらい飲んだ。それから最近よく考える
デファレンシャルギアの事についてまた考え始めた。(フリーギアのスパイダーギアほど
不思議なギアはない。もしそれを発明しなかったら車はなかったんだから。いったい誰が
発明したんだろう。車が右折する場合、ディファレンシャルギアの中では不思議なことが起こっている。その何億倍も不思議なことが人体には起こっている。こんな不思議な人体を作られた神様はやっぱり凄い方だ。神様の作品である人体は何兆円より価値があるんだ。そのとき冷やし中華が運ばれて来た。、、、、彼は唇だけ動かして感謝の祈りをして、食べ始めた。~~~~~~~~彼は食べながらまた考え始めた。車が右折するとき、前タイヤは右側に傾く、するとスパイダーギアもその動きに連動して自然に右回転を始める。まあこれは物理法則だろう。多分ディファレンシャルギアを発明した人は物理に詳しい人だろう。すると富士山のような形をしたスパイダーギアは動力を左前輪に回転する分+もともとドライブシャフトから送られてくる動力。で直進時より高回転になる。そのとき右前輪はと言うと、逆にドライブシャフトから送られてくる動力に逆回転の抵抗を与えるからブレーキになる。つまりスパーダーギアはもともとドライブシャフトから送られてくる動力-右前輪が逆回転する分。だからハンドルを右に切ると、左前輪の方が右前輪より高回転になり自然に車は右にカーブできる。ハンドルを切れば切った分だけ、自然にこれをしているんだから、まったく車ってやつはたいしたもんだよ。)
                                    つづく

暖かく無関心なホッとする人(P君)2849話

 午後7時30分、帰宅して夕飯を食べ終え、リーナは食卓のTVを見ながらシャーベットをかじっていた。D君もTVをぼんやり見ていた。D君は自分で言うのも変だけど、「自分は
キョンに似て、普段ボーっとしていることが多いな。」と思った。「自分はあきらかに
キャッチャータイプだ。」だからリーナが投げるどんなボールでもキャッチできるのか。
考えてみればキャッチャーというのはそんなものだ。一応サインは出すけど、構えた場所
に1cmも狂わないでボールが飛んでくるなんてことは滅多にない。キャッチャーもそんな
ことを期待していない。とんでもない所にボールが飛んできても、何も考えないで捕りに行く。それが当然のことだと思っている。もし自分の指示したところにボールが来なかったら捕らない。なんてキャッチャーがいたら、そのチームは惨敗する。D君はボーっとしてリーナの喋る言葉をよく聴いているから上手くいっていると思った。もし何か考えていたら、ボーっとなんかしてられない。家庭ではボーっとしていることは大切だな。と思った。
                                   つづく