暖かく無関心なホットする人(P君) 739話

 午後5時15分、D君は会社の仕事が終わり、駐車場に向かって行く途中、リカちゃんに電話を掛けた。「ブルルル、ディーン。」「リカちゃん、朝食のとき思い出したんだけど、まだ買い忘れた物があってね。」「えっ、なに買い忘れた物って?」「移動式の
クロゼットと固定電話の台だよ。」「そうか。」「うん、スーツとかは今入れるのがあるけど、これはリカちゃんの趣味じゃない、リカちゃんのも買うからこれを2つと電話台を
今度の土曜日に買いたい。それと話は全然違うけど、この間の続きで大事なことを思い出したんだ。」「何の話?」「それは、キャッチボール(恋愛)は相手が取れるボールを
投げることが大切ってことだよ。相手が手を伸ばしても届かない(興味がない話)ボール
を投げても無駄、難しすぎたり(ボールが早すぎたり)しても取れない。そんなボールを
投げる人とは誰もキャッチボールしたくない。例えば、ある人が人のパーソナルスペース
に急に入り込んで、ため口で話して来ると、ずうずうしい人だな「何なんだこの人は?」
と思うかも知れないが、彼女の事がだんだん気になってくる。それはそばでゆるいボール
を投げられたのと同じ。そんなキャッチボールは誰だって簡単に取れてしまう。だから
キャッチボールするときの距離感はすごく大事。ため口は相手もキャッチボールするのが
やり易い。これが敬語だと遠くて取りにくいボールになってしまう。取りやすいボール
だと自然に取ってしまう。ため口で相手が話して来ると、こっちもため口でいいんだ、と
思い心が楽になり構えないで済む、また相手に近づくことが恋だと思う。だから恋人同士
は必ずため口で話している。取りやすいゆるいボールを近くから投げられたら、つい取ってしまう。ガッキーはため口の天才だと思うよ。」「確かに。」
                                    つづく