「固定概念と真実」

 ここにAという人がいます。彼はダイヤの指輪を買うために大金を
持って、町の貴金属店に入っていきました。その店にある一番高い
ダイヤの指輪を買い、彼は鼻高々にその店を出て行きました。
 その後数日してから親友が訪ねて来ました。彼は昔、ある貴金属店
に勤めていました。その彼に自慢のダイヤの指輪を見せました。彼は
興味深く、その指輪を見ました。すると彼の顔が曇りました。彼は言
った。「このダイヤは本物じゃないね。」Aは「そんなバカな。」と
否定しました。しかし彼はこれは偽物と言い続ける。彼はその道の
プロ、信じるしかありませんでした。


 Aは純粋で人を疑うことをしない人でした。世の中に偽物があるこ
とを知らず、なんでも取り入れる人でした。彼には何の罪もありませ
でした。が、そのダイヤを偽物と知った上で、他人に本物と偽って
大金で売れば詐欺罪になります。
 何が言いたいのかというと、本物(真実)だと思っているが、残念
ながら、それが偽物であったことをなかなか人は受け入れないことです。


 創世記で神様は「我々」と言って他の二人と行動を共にしていまし
た。合計三人です。この事実をユダヤ人は、なかなか受け入れません
でしたが、その人たち以外の人も、なかなか受け入れられません。
その理由は、あまりにも長い間「~三つにまして一人の神~」と歌い
「あの説」が体に染み込んでいるからです。そして二回目の十戒石板
の「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。」と
いう御言葉の私を無意識の内に一人と決めてしまい、神様は一人しか
いないことになっている。そこに神様は始めから三人いた。と言って
も理論上そうであっても、あまりに一人と思っていた時間が長く簡単
には受け入れられない。
 ローマ帝国でもガリレオが現れるまで多分99.9%の人は、地球は動
かないで太陽が地球の周りを周っている。と思っていた。ガリレオも、
きっと始めは研究していて太陽の周りを地球が周っているのを見て、
「そんなバカなことあり得ない。」と思い、なかなか現実を受け入れ
られなかった。あまりにも長い間「天動説」が、ガリレオの心を支配
していた。しかし研究を続けるうちに固定概念より真実が大切だと思
うようになった。そして、確信に変わったので「地動説」を発表した。