暖かく無関心なホッとする人(P君)3921話

11/25(水)16:40 D君は仕事が一段落したので、「正樹の一人クリスマス」の続きを書くことにした。


    「正樹の一人クリスマス(クロスロード)」第2話


 正樹は東京がいよいよやばいことになってきたと思っていた。TVのニュースを見れば、Go to travel の中止関連の知らせばかり。コメンテーターは「政府がブレーキのない車を
走らせておいて、今になって車が止まらないと騒いでいる。」と言っていた。全くその通り
だと正樹も思っていた。でも正樹はむしろ普段の年末と違うことを、これは何かのチャンスだと思っていた。例年なら今頃、出来るだけカップルを意識しないようにしているが、それが逆に意識しないようにすればするほど気になってしまう。これは眠れなくて寝ないと明日の仕事に差し障ると、思えば思うほど眠れないのに似ている。----そんなわけで去年まではこの季節が嫌いだった。今年は一つそんなもんもんとした年末じゃなく、クリスマスの正体を探ってみようと思った。よく幽霊の正体はただの柳の木だったといわれるように、
正体をよく探ってみれば、自分の思っていたものと全然違うことがある。今まで自分が想像
していたクリスマスは家族団らん、または恋人同士がクリスマスケーキや鳥のもも肉の揚げ物、シャンパンや色々なご馳走、またお互いにクリスマスプレゼントを贈りあったり、
クリスマスツリー、サンタクロースなど。みんなリア充の人たちがやりそうなことだ。でも
今年は違う。会社を解雇された人がざらにいる。そんな人たちは家の家賃(ローン)さえ
支払えなく、最悪この寒空にほうりだされホームレスになるしかない。そんな人たちは生きるのに必死で今日食べるパンを得ることだけ考えている。「貧すれば鈍する」とはよく言ったものだ。彼らにはクリスマスなど無縁なものだ。----早く日が暮れる外の風景を見ながら、正樹はふと考えた。「でもなんかおかしい?12/25ってイエスキリストの誕生日だって聞いたことがある。自分もほとんどの日本人が一応仏教ということになっている。なのに
キリスト教徒でもなんでもないのに「メリー・クリスマス」(キリストの誕生日おめでとう
)とお祝いするのはおかしくないか?欧米人がそうするのはわかる。だだ西洋のお祭りに
便乗する日本人の癖なのか?わからない。わからないままじゃこの先も何十年も嫌な思い
をしなきゃいけない。そんなの絶対ごめんだ。よしこの際クリスマスの正体を暴いてやろう

                                    つづく