暖かく無関心なホッとする人(P君)2806話

 午後8時、浩二(キムタク)は自分の住んでいるアパートに帰って来た。
築30年のボロアパートだが都心なので家賃は結構高い。浩二はなんでも合理的に考える
癖があった。どうして家賃の高い都心のアパートを選んだかと言うと、窓を開ければ
すぐ近くに新宿の高層ビル群が見える。そのすぐ近くに住んでいるせいか、いつも
テンションが上がる。そのせいか特に部屋を豪華に見せようとは思わなかった。夜は
窓の外を見ると、高層ビル群の明かりがシャンデリアのようだった。それに会社から
歩いて3分のすぐ近くだから、電車で通勤する必要がない。彼は考えてここに住むことにした。もし毎日電車賃が往復500円かかるところに住んだら、1か月で20日通勤したとしたら、500 x 20 = 10000円、だから都心から離れて家賃が10000円安い物件に住んで、
毎日電車通勤で疲れ時間を犠牲にするのと、会社のすぐ近くで10000円高い物件に住む
のは、時間を得する分、とくだと思った。それに彼は本にかかわる仕事が好きだったから
会社のすぐ近くに住むことに少しも抵抗が無かった。会社の仕事があまり好きじゃない人
は、多分会社から離れた遠くに住みたいんだろうな。と思った。
                                     つづく