暖かく無関心なホットする人(P君) 47話

 D君はインプレッサを選んで良かったと思った。このインプレッサは4WDだ、おまけに
スタッドレスタイヤを履いている。すれ違う車のドライバーの表情を見ると、びくびく
しているように見える。彼らと対照的に安心感に満ちて運転できる。雪道を走るのが、
むしろ楽しいぐらいだ。そう思っていると、教会が見えて来た。
 9時55分頃、里香さんは教会に来る。だから9時50分には教会に着きたい。腕時計を見ると今は9時45分だ。ちょうどいいと彼は思った。
 彼は、まだ誰も来ていない駐車場でインプレッサに乗っていた。相当、里香さんが好きなんだな、と彼は思った。そこにタクシーが来た。タクシーからガッキーと里香さんが降りて来た。雪がさっきよりどんどん降って来たので、車から降りると二人は教会の玄関に
向かって走って行った。
 D君もインプレッサから降りると、走って玄関に向かった。彼は教会の玄関のドアを開けた。「あっ、里香さんと寛子さん、凄い雪ですね。僕もさっき着いたばかりです。車の中から見ていたら、今日はタクシーで来たんですね。」と言ったら、里香さんは「ええ、
二人とも雪道に慣れていないので、途中で何かトラブルがあって、遅れたら嫌なので。」
と言った。D君が「それなら、ぜひ教会の帰りは遅らせて下さい。」と言ったら、二人が「え、いいんですか?」と言い、D君は「どうぞどうぞ。」と言い、二人が服に着いた雪を払っている時、手をグーにしてガッツポーズをしながら、心でラッキーと思った。


                                つづく