暖かく無関心なホッとする人(P君)1117話

 午後5時15分、D君は会社の仕事が終わり、駐車場に歩いて行く途中、リカに電話を掛けた。
リカ  「ブルルル、ブルルル、ブルルル、ブル、はい加藤です。」
D君  「リカちゃん、Dだけど。」
リカ  「あっ、ディーン。ビックリした。」
D君  「ごめん、ごめん、今日は電話する日じゃなかったけど、よく考えたら火曜日と
    木曜日だけ電話するっていうルールって、ちょっと変じゃないかな?だって僕達
    もうじき結婚するんだよ。あのルールを作ったのは確か付き合い始めじゃないか 
    な。これからは無しね。と言うのも、いい事に気が付いたんだ。」
リカ  「何そのいい事って?」
D君  「それは、またまたクラッチの事なんだけど、車を運転していると予期せぬ事が
    起きるよね。子どもが道に飛び出して来るとか。」
リカ  「うん。」
D君  「その時リカちゃんならどうする?」
リカ  「急ブレーキを掛ける。」
D君  「そうだよね。で、そのあとどうする?時速40kmで走っていたら、時速10km
    にスピードは落ちるよね。そこでAT車ならそのままでいいんだけど、クラッチ
    のあるマニュアル車はそれまで4速に入っていたギアを1速に入れ替えないと
    エンストしてしまうんだ。これを恋愛に例えると、それまで順調に付き合って
    いたんだけど、予期せぬトラブルが発生したとする。恋人同士が喧嘩したとか
    、その場合そのままのギアではいけない。彼らはそれまで4速で走っていたんだ
    。それが急ブレーキでスピードが一気に10kmに落ちてしまったから、それに
    あわせて1速に入れ替えないといけないんだ。恋人同士も出会い始めた時のよう
    に(その時は相手に対して、ある程度距離をおいて、小さい事でも感謝していた
    はずだ。)すればエンストしないと思うよ。つい付き合いが長くなるとトラブル
    が起きても(その時、スピードは10kmしか出ていないのに4速に入っている。
    じゃそれじゃすぐエンストする。)今まで通りの付き合いじゃ、上手くいかない
    と思う。」
                                    つづく