暖かく無関心なホッとする人(P君)1082話

 午後7時45分、ちょっと遅れたが聖書を読む時間だ。今晩読むのは創世記44章。ヨセフは彼らの泊まっている家の管理者に、彼らの袋を食糧で満杯にし、それぞれの銀を袋の
口元に置くように命じた。そしてパロの銀の杯を、末の弟ベニヤミンの袋の口元に穀物の
代金と一緒に一緒に置いておくよう命じた。明け方、彼らはロバと一緒に送り出された。
彼らが町を出てまだ遠くに行かないうちに、ヨセフは家の管理者に言った。「さあ、あの人々のあとを追え。追いついたら彼らに、「なぜ、お前達は悪をもって善に報いるのか?
銀の杯は私の主人がこれで飲み、これでいつものまじないをしておられるのだ。お前達の
したことは悪どいことだ。」と言うのだ。彼は彼らに追いついて、この言葉を彼らに告げた。すると彼らは言った。「あなた様は、なぜそのような事をおっしゃるのですか?
しもべどもがそんな事をするなどとは、とんでもないことです。私達が袋の口元から
見つけた食糧代金に支払った銀が返って来た時も、これは何かの間違えだと思い、
わざわざカナンの地からあなたの元へ返しに来たではありませんか。どうしてあなたの
御主人の家から銀や金を盗んだりするんですか?しもべどものうちの誰からでも、
それが見つかった者は殺して下さい。そして私たちも、ご主人の奴隷になります。」
すると彼は言った。「お前達の言う事はもっともだが、それが見つかった者は私の奴隷
となり、他の者は無罪としよう。」そこで彼らは急いで自分の袋を地面に降ろして、
自分の袋の口元を開いた。彼は長男ルベンの袋から調べ始め、最後に末っ子ベニヤミン
の袋の口元の紐を解いた。なんとそこには銀の杯が置いてあった。それを見た兄弟達はショックのあまり着ていた服を引き裂き、町に帰って行った。彼らがヨセフの家に来た時
ヨセフはまだそこにいた。彼らはヨセフに土下座した。ヨセフは彼らに言い放った。
「お前達のした事は何だ。私のような者はまじないをすることを知らなかったのか?」
するとユダは「私達はあなた様に何の弁解もできません。私たちも、杯を持っているのを
見つかった者も、あなた様の奴隷になります。」と言ったがヨセフは、「いや、その必要
はない。銀の杯を持っていた者だけが私の奴隷になればよい。あとの者は安心して父の家
に帰るがよい。」と言った。するとユダは、もしベニヤミンを無事に父の元に連れ帰らな
ければ父との約束を破ることになり、最悪父を死なせることになると思い、この苦境から
出ようとしヨセフに、「どうか今、このしもべを、あの子の代わりに、あなた様の奴隷
としてここにとどめ、あの子を兄弟達と家に帰らせて下さい。あの子が私と一緒でなく
て、どうして私は父のところへ帰れましょう。私の父に起こるわざわいを見たくありません。」と言った。
                                   つづく