「パスワード」

 今の時代、何をするにしてもパスワードが必要です。これさえあれば
どんな困難なことでもクリアーできます。あの踊る大捜査線の映画で
犯人グループは警察署の引っ越しの、どさくさに紛れて旧警察署内に
忍び込み、新しい警察署に何かあったら、上部から例の分厚い金属製
の扉(これは警察署が敵に狙われ、ミサイル攻撃を受けても耐えられ
るような、特種な壁)の使用マニュアルをすり替えてしまった。何も
知らない警察官らは、犯人グループの罠にハマって、例の壁を降ろす
使用マニュアルに従ってしまった。そのパスワードは犯人グループに
よって書き換えられてしまい、扉を降ろしたら、上げることができず
閉じ込められてしまった。
 パスワードが、正解なら解放されるはずでした。それで思いました。
「あの説」によって閉じ込められたクリスチャンも、正解パスワード
なら解放されるはずだと。では、そのパスワードは何だろう?
 これさえあれば、反対勢力を封じ込め、有無を言わせず「あの説」
から逃れられる。このパスワードは四つある。
 一つ目は創世記に度々出てくる「我々」です。我々は父なる神様と
子なる神様(イエス様)と聖霊様の三人です。この三人が協力して、
地球や人間を創りました。
 二つ目はイエス様がバプテスマのヨハネから洗礼を受ける時です。
この時、父なる神様と子なる神様(イエス様)と聖霊様が違う場所で
同時に現れています。これも三人の独立した別々の神様がでます。
 三つ目はゲッセマネの園でイエス様が十字架刑を目前にした祈りの
時です。この時、イエス様は父なる神様に十字架刑を受けなくて済む
ように必死にお願いしましたが、答えはNOで、冷たく拒否されました。
これも全く違う、対立する二人の人です。
 四つ目は十字架上のイエス様で父なる神様に「わが神、わが神、
なぜ私をお見捨てになったのですか?」と苦しみながら叫んだ場面で
す。これには深い理由があります。人類は罪の負債がありますが、返す
ことは不可能です。そこで立ち上がったのが連帯保証人のイエス様です。
人類が返金不可能と知った父なる神様の怒りは連帯保証人のイエス様に
向かいました。ですから父なる神様はイエス様に向かい借金の取り立て
のように、本人が落ち込むように、厳しく、冷酷に、接しました。
これでも父なる神様と子なる神様(イエス様)は心が通い合って、ひとつ
の心、一人の神と思えますか?このように四つの場面(4つのパスワード)
全てで言えることですが、父なる神様と子なる神様(イエス様)は異なる
立場、異なる考え、独立した別々の神様です。これをどうして一人と考え
なければならないのでしょう?
 そもそも「あの説」を考えたアタナシウスはエジプトのアレキサンドリア
出身の太陽神崇拝者でした。その彼が、同じ太陽神崇拝者のエジプト国民を
本当はそうでなくてもいいので一応クリスチャンにするために太陽三神の思想
に似た「あの説」の三つにまして一人の神の思想をキリスト教に持ち込み
今に至ります。お分かりいただけましたでしょうか。
 ですから、皇帝コンスタンティヌス1世の命令を受けたアタナシウスが何とか
エジプト国民を一応クリスチャンに見せかけるため、はじめに「あの説」あり
で考えた説なので、所々、聖書と、つじつまが合わず矛盾が生じます。
もっとも、彼がクリスチャンだったら、皇帝の命令を初めから断ったでしょう。
彼が異教徒だったから、こんな酷い説を作ったのでしょう。