暖かく無関心なホットする人(P君) 577話

 午後5時30分、D君は会社からアパートに真っ直ぐ帰って来た。部屋に入ると冷蔵庫
から、牛肉、玉ねぎ、にんじん、にんにく、ピーマン、ハウスジャワカレー中辛、唐辛子
SBカレー粉を出した。今晩は超辛いカレーにしようと思った。カレー用の深い鍋に油を引き、火で熱して牛肉を炒め、水と切った玉ねぎ、にんじん、にんにく、ピーマンを入れ
グツグツ煮込んだ。とにかくは今日は何時もより辛いカレーが食べたかったので、唐辛子も入れることにした。同時進行でご飯も炊いた。一番硬いニンジンが柔らかくなったので
火を止め、カレールウとSBカレー粉大さじ一杯と唐辛子小さじ一杯を入れ掻き混ぜた。
すると、いつものカレーより色が赤くなった。だが彼は味見をしなかった。辛い物には
慣れている、と思っていた。彼はその辛いカレーに勝とうとしていた。チャレンジャー
という言葉が好きだった。それで汗を掻きながら食べた。食べながら「相撲でも前に出ようとする力士は強いが、引く力士は弱い。恋愛でも同じだと思う。先の事を考えず前に進もうとする人は魅力的だが、どうせまたられるんだろうと弱気になり、引く人は魅力が
ない。」「下手な鉄砲も数打ちゃあたる。」というのはリカちゃんを見て、本当だと思った。「何回も、多分10回以上ふられたのに、次行って見よう、という楽天的なのが
かったのだろう。」と思った。
                                   つづく