「サバイバーな弟子ヨハネ」

 サバイバー(survivor)とは、事件、事故、災害に遭いながら生き
のびた人のことを言います。
 12弟子のヨハネは、このサバイバーな弟子でした。12弟子たち
は事件に巻き込まれましたが、命ではなく弟子たちは主に対する信仰
を失い、生きながら、それよりもっと大事な心を失いました。しかし
ヨハネだけは事件に巻き込まれ危険なところに侵入しても主に対する
信仰を失わず、主の最期を見届けました。
 ゲッセマネの園で睡魔に襲われたヨハネは、イエス様に言われた「
寝ないで私と共に目を覚ましていなさい。」と言う約束を守れません
でした。ヨハネが目を覚ましたのは、群衆の足音だった。彼はつい犯
してしまった失敗をはずかしながら目を上げると、すぐそこでイエス
様が誰かと話している、暗闇の中で、よく見ると、それは弟子のユダ
だった。松明の光の中、その他の群衆は剣や棒を持っている。
それからユダがイエス様に顔を近づけ「先生こんばんわ。」と言って
挨拶のキスをした。それから群衆は突然、犯人グループのように動き
出し、イエス様をロープで縛った。
 いったい何が起こったのか、さっきまで寝ていたヨハネには理解で
きなかった。
 その時、弟子の誰かが身に付けていた剣を抜き、大祭司の手下の耳
を切り落とした。そして真っ赤な血が飛び散った。それから主は何か
話されたが、他の弟子たちは、この突然起こった事件に恐れを感じ、
自分にも危害が及ぶと思い逃げてしまった。
 しかしペテロとヨハネだけはこの事件の一部始終を知りたく、遠く
離れてこの群衆について行った。
 ヨハネは寝ぼけ眼で起きたこの事件の意味がわからなかった。「い
ったい何が起きたのだろう?弟子の中で自分が多分一番年下だ。兄も
逃げてしまった。ここにいるのは自分と最年長リーダーのペテロさん
だけだ。自分は若く、まだ未熟だが失うものは何もない。主だけが宝
だ。」