暖かく無関心なホットする人(P君) 261話

 12時、礼拝は終わった。D君はトイレに行くふりをして、講壇から降り牧師館に行く
途中の牧師を呼び止めた。「先生、少しお時間はありますか?」「OO君、いいですよ。
この後、時間はあります。どうぞこちらの会議室へ。」D君は牧師の後について行き
会議室に入った。「OO君、お話って何でしょう。」「すみません、お忙しい所。実は
去年の暮れの教会クリスマスから、この教会に通って、まだ3ヵ月ぐらいしかたってないのですが、聖書に興味があり創世記から読み始めて、全部読んだら洗礼を受けたいと思っていました。聖書の理解できない点は桜井さんが丁寧に教えて下さり、納得しました。
本を早く読むのには慣れています。マタイの福音書27章を読んでいる時です。イエス様は何の罪も犯していないのに、どうして十字架に架けられたのか?しかし彼は逃げてもいいのに、逃げないで、無実の罪を着せられて、普通なら弁明するところを弁明しないで、
何か無実の罪を着せられることを目的として、そのためにこの世に生まれた罪の無いただ
一人の人だったことが分かりました。それは罪人の誰かの代理だったんです。それは私だったのです。だから洗礼を受けたいのです。」
 これを聞いて牧師は涙ぐんだ。「OOさん、よくわかりました。こんな短い時間に、
よくここまでわかりましたね。時間は関係ありません。すぐ洗礼を受けて下さい。来週の礼拝後、週報を司会者が読む時間があります。その時にOOさんの事を発表します。
その翌週に洗礼式を行いましょう。もう春ですから、そう寒くないでしょう。この教会の横に洗礼用の小さなプールがあります。桜井くんと同じくらいの歳じゃないですか。
わからない事が有ったら、どんどん彼に聞いてください。」
                                   つづく