暖かく無関心なホッとする人(P君)3456話

 7:30 D君とリーナは朝食を食べ終え、食器を片付け一休みしていた。D君がニヤニヤしていると、


リーナ 「なにか良いことでもあったの?」


D君 「うん、まあね。ここ2.3日このことから頭が離れなくてね。そんなたいしたこと
    じゃないんだけどね。」


リーナ 「なに、気になるから言って。」


D君 「うん、ネジ穴をナメっちゃってね。僕の車インプレッサの部品を交換しようとし
   ていたら、ついやっちまってね。車の部品は電気ドライバーで強く締めてあるのを
   忘れて、簡単にはずれるだろうと思ったのが失敗だった。なめていたんだね。」


リーナ 「うまい。」(笑)


D君 「ダジャレを言ってるんじゃないよ。僕はその時あっせったね。こいつは手ごわい
   難敵だ。外したくても外せない。これはストレスだよ。すぐパソコンで「舐めてしまったネジを外す方法」を検索した。するとそこには何種類かの外す方法が書いてあった。その中から3種類の方法を選んで、その道具を通販で買った。3種類も外す方法があれば、一つぐらい上手くいくだろうと思った。一つしか買わないで上手くいかなかったら。そんなくだらないことでまた悩まないといけなくなるのが嫌だったんでね。でも1つ
の方法が上手くいかなかった。でもまだ2つの方法があると思っていたら、2つ目もダメ
だった。焦ったね。最後の方法を祈るような気持ちで試したがこれもダメ。これは強敵。
どうしたらいいのか悩みながら寝た。でも昨晩寝て起きたら、合わせ技なら勝てるかも
知れないと思ってね。」


リーナ 「合わせ技?どういうこと?」


D君 「例えばボクシングの試合の事を考えればよくわかる。ここに一人のものすごく
    打たれ強い選手がいる。彼は顔面に1発ぐらいストレートパンチを浴びたぐらい
    では倒れない。しばらくしたら回復する。でも考えた。もし彼が3連発パンチを
    浴びたら、さすがの彼も耐えられなくダウンする。大事なことは回復する時間を
    与えないで立て続けにやること。もしそのボクサーにパンチに耐える力が50
    あったとする。1発のパンチの力が20だとする。でも3連発だと相手に与える
    ダメージは?」


リーナ 「60 ?」


D君「そうだよね。50対60でそのボクサーはダウンするように、なめたネジも参りました
   と言わんばかりにクルクル回り外れたんだ。」


リーナ 「それで機嫌がいいんだ。」


                                   つづく