暖かく無関心なホッとする人(P君)3349話

 9:30 D君は外回の車の中で運転しながら考えていた。(サーティーの生き方は
いいな。一度地獄を見て、そこからの復活だ。言ってみれば地獄の20代、そこからの
復活。苦労を体験できた。それが若い時、何にも苦労しないで順風満帆できて、歳を取ってから嵐に巻き込まれたら、それに対応出来なくただ自分の不幸を嘆くだけだ。その嵐の
20代の日々をサーティーは体験し、うつ病という地獄を体験した。そこからの復活。
だから彼はどうなるとうつ病になり、またどうすればうつにならないか良く知っている
と思う。うつから生還したサーティーの本には書いてあった。「鬱になる前は自分の事を過信し、自分のキャパシティーつまりバッテリーで言えば容量を無視してバッテリー容量が0%に近いにもかかわらず充電しない愚かな人だった。で、スマホのバッテリーは0%になった。つまりうつ病。無反応。それは他人に対しNOと言えない人の当然と言えば当然の結果。それで彼は、第一線から退き、死に物狂いで自己改革した。つまり他人に対しNOと言える人になった。」彼が言うには他人に対し優しい人は結局他人の餌食になる。餌食と言うのは途中で試合放棄。他人に対し無責任になる。でも自分に対し優しい人は
自分のバッテリー容量に敏感。あと10%しかバッテリー残量がないと思ったら、電源をOFFにして、100%まで充電する。それは他人に対しある意味「冷たい人」になること。よく海で溺れている人を助けた人が逆に溺れてしまう事故がニュースにある。理由は簡単だ。初めに溺れている人は助けに来た人に浮袋のようにしがみつく。すると助けに来た人は海の中に沈められて溺れ死ぬというわけだ。その人は優しい人だったかもしれないけど、他にも助ける方法があったかも知れない。「冷たい人」というと聞こえが悪いかも知れないが、その人は「冷静で賢い人」の事。助けに行った場合より「冷たい人」が助けた方が、二人とも助かる確率が高い。この本を読んでから僕は完全OFF日を作った。つまりこれ以上働いたら、自分を動かすバッテリー切れが起こる。そうなってからじゃ遅すぎる。そうなった人が「うつ病」だろう。サーティーはそれを若いうちに体験したから不幸中の幸いだ。だから彼は今どのくらいバッテリー容量が残っているか、よくわかってる。彼が言うには嫌な事を我慢してやり続けるとバッテリー消耗が激しい。また自分の
好きな事をしている時間は充電中。だそうだ。


                                    つづく