暖かく無関心なホッとする人(P君)3011話

 19:30 Ⅾ君は会社から帰宅し、リーナと夕飯を食べ終え食器をかたずけ
     一休みしていた。
 19:45 リーナがシャワーを浴びに脱衣室に入って行くのを見届けると、スマホを
    取り出し、リーダーから返事が来ていないかチェックすると、合った。


     D君へ


 メール読みました。だいぶ悩んでいるようなので、間違えを起こす前に返事を書いた方がいいと思い、このメールを書きました。僕はD君のような他人の個人情報を聞かされる
機会が割と多いですが、そんな時どうしているかと言うと。まずこの話はオープンBOXに入れるかブラックBOXに入れるか決めます。オープンBOXというのは段ボール箱を考えるとわかりやすいですが、蓋をしてない開けっ放しの箱です。そこにメモした紙を入れます。その紙は誰でも自由に読むことが出できます。機密性は全然ありません。自由に人と会話できます。青年会で話すことはこれが多いよね。もう一つの箱、ブラックBOXなんだけど、この箱がないと場合によっては他人の精神を破壊してしまうんだ。恐ろしいね
。僕はこの箱に他人の個人情報を書いたメモ用紙を入れるようにしている。この箱は金属
で出来ている。金庫みたいだね。でも入れたら最後、誰も開けることはできないんだ。僕
だってね。だってカギで開けられないし、そもそも鍵穴がない。どうしたって出しようがない。機密性があるからダイナマイトとかでぶっ飛ばすしか開ける方法が無い。でもその時はメモもバラバラになるけどね。僕は他人から個人的に聞いた個人情報をブラックBox
に入れるようにしている。だから僕もどんな内容だったか、はっきり覚えていない。そう
だから、その内容を第三者に話そうとは思わない。だって自分で「ホントかな?」と疑問に思うことを他人に話そうとは思わないよね。人から聞いた個人情報を第三者に話したいと思うのは、その情報が真実だと思うからだよ。でもその情報が間違っているかも知れないよね。第一、その人が思っていることは、その人本人しか知らないことだよ。D君が
他人の恋愛が気になることはわかるんだけど、誰が誰を好きになるかなんて、今日の夕飯は何にしようか?ぐらい自由なことだよ。それを他人がこのあいだ「ラーメンが食べたい。」って言っていたからって、毎日ラーメンが食べたいわけじゃないよ。だから僕は
他人の言うことはあまり信用しないようにしている。まあこんな感じかな。


                                   桜井




                                    つづく