暖かく無関心なホッとする人(P君)2816話

 唐沢が会社の先輩D君に恋愛の相談をしている頃、Bさんは小説「アブラハムのような日本人クリスチャン」を書く準備をしていた。彼は以前さっと創世記は読んだが、今度はじっくり読んでアブラハムの人物像をもっとよく知りたかった。以前読んだときは、ただ「アブラハムの生き方は日本人クリスチャンのお手本になる。」と思って、もっとよく
知らないといけないと思い、創世記11章の終わりから読むことにした。その章の終わりにアブラハムは父テラと甥のロトと妻サラと一緒にカナンの地に向かって旅に出たことが
書いてあった。どういう経緯でアブラハムが生まれ故郷のカルデラのウルを捨てたかわからないけど、彼はこんな人の手で出来た偶像が神であるわけがない。自分を造られた方
創造主こそ礼拝すべき方だ。という信念の人だった。多分その迫力に押されて父親も息子
アブラハムと行動を共にした。彼も前からカルデアのウルの偶像礼拝に嫌気がさして
いたが、息子アブラハムの行動力がなければ泣き寝入りしていたに違いない。ここに
アブラハムの信仰に日本人クリスチャンは見習うところがある。多くの日本人は表面的
には仏教に肯定的だが、それは人間関係を悪くしたくない、つまり他人を恐れてのことで
、心の最深部では仏教の仏像が自分を救ってくれるとは思っていない。これはアブラハム
の父テラと同じ状態だ。そこにアブラハムが登場した。彼は父テラの人を恐れる態度に
嫌気がさし「俺は人が何と言おうと、俺の信じた道を突き進む。偶像が神であるわけがない。」彼の迫力に押されて父テラと甥ロトは、以前からそうしたかったことをする勇気が
生まれた。
                                     つづく