暖かく無関心なホットする人(P君)966話

 午後7時、聖書を読む時間だ。今晩読むのは創世記29章だ。ヤコブは旅を続け東の国に
行った。彼は野の1つの井戸を見た。その井戸の傍に3つの羊の群れが伏していた。
その井戸から羊の群れに水を飲ませることになっていたが、井戸の入口を塞ぐ石は大き
かった。群れが集められた時その入口の石をどかし、羊に水を飲ませ、飲み終わったら
再び元通りにすることになっていた。そうしている人々に向かってヤコブは尋ねた。
ヤコブ    「兄弟たちよ。あなたがたはどこの方ですか?」
羊飼い達   「私たちはカランの者です。」
ヤコブ    「あなたがたはナホルの子ラバンを御存じですか?」
羊飼い達   「知っています。」
ヤコブ    「あの人は元気ですか?」
羊飼い達   「元気です。ご覧なさい。あの人の娘ラケルが羊を連れて来ています。」
ヤコブ    「ご覧なさい。日はまだ高いし、群れを集める時間でもありません。
        羊に水を飲ませて、また行って、群れをお飼いなさい。」
羊飼い達   「全部の群れが集められるまでは、そうできないのです。集まったら、
        井戸の口から石をころがし、羊に水を飲ませるのです。」
その時ラケルが羊の群れを連れてやって来た。ヤコブは母の兄(伯父)ラバンの娘ラケル
と伯父ラバンの羊の群れを見ると、井戸の口の石をころがし伯父ラバンの羊の群れに水
を飲ませた。ヤコブはラケルに自己紹介した。「自分は、あなたの父の妹(叔母)の子
です。」親戚ですと。それを聞いてラケルは走って行って父ラバンにそのことを告げた。
ラバンは妹の子ヤコブのことを聞くとすぐ、走って行き大歓迎した。そして自分の家に
連れて行った。ヤコブは伯父ラバンに事の次第をすべて話した。伯父はヤコブを気に入り
彼は1ヵ月も伯父の家に滞在した。その家に彼を泊めているとき、無報酬で彼に仕事を
手伝わさせる事は良くないと思った伯父ラバンは、ある提案を出した。「どう言う報酬
が欲しいか、言ってください。」すると、ヤコブは美人で目力の強い妹娘ラケル(姉娘
レアは目が弱々しかった。)と結婚させて下さるのなら、7年間あなたに仕えましょう。
」と言った。ラバンはヤコブの願いを聞き入れた。ヤコブはラケルを愛していたので
7年間が数日のようだった。しかし結婚式の当日、ラバンはヤコブを騙し、姉娘のレア
をヤコブに嫁がせた。朝になって彼は騙されたことを知った。そのことに憤慨したヤコブ
は伯父ラバンの言い訳を聞く羽目になり、ラケルと結婚するために、もう7年間無報酬
で働かされた。
                                    つづく