「リアルに人間イエス様を見ていたヤコブ。」

 
 このヤコブは12使徒の一人でヨハネの兄でした。彼は弟子の柱と
してペテロ、ヨハネと共にイエス様から重んじられていました。
 彼は先ほど終わった晩餐には不思議なことがいくつかあったと思っ
た。いつものように葡萄酒をみんなで飲んだが、主はもう葡萄酒は飲
まないと言った。それと会の途中で主の隣にいたユダが主と何か話し
た後、そそくさと会場を後にした。いったい何を話したのだろう。こ
の場所からは離れているのでどんな話か分からない。夕食の会も終わ
り、外はすっかり暗くなり、皆でいつものように近くのゲッセマネの
園に行くことになった。外は気持ちのいい春のさわやかな風が吹いて
いる。
 ヤコブは、まださっきのことが気になっていた。そのとき主が深刻
な顔をして近づいてきた。こんな暗い顔をした主を見るのは初めてだ。
同じようにペテロと弟のヨハネも声を掛けられた。この4人グループ
で皆から20メートルぐらい(石を投げて届くぐらいだから、このく
らいでしょう。)離れたところまで歩いて行った。そこで主は言われ
た「私は死ぬほど悲しい。ここを離れず、私と共に目を覚ましていな
さい。」そして少し離れて行って、うつ伏せになり、祈って言われた。
「父よ、できることなら、この杯をわたしから過ぎ去らせて下さい。
しかし、わたしの願いどおりではなく、御心のままに。」ここまで聞
こえる大きな声で祈っている。まるで叫んでいるようだ。この時初め
て主の弱り切った顔を見た、いつもの主は自信満々で悩みなど少しも
ない明るい方だったのに今日はいつもと様子が違う、ここにいるのは
悩める一人の青年だ。父なる神様にやりたくない事の断りのお願いし
ているようだ。普段なら喜んで従うのにいったい今日はどうしたのだ
ろう。これは父親に従いたくない青年の姿だ。