暖かく無関心なホッとする人(P君)3036話

 13:45 青年会のみんなが輪になってブルーシートの上に座り、トランプの
ババ抜きをしていた。ランナーとKKは向かい合わせて遠く離れていた。その時
KKは思った。(今度の土曜日にDの家でランナーと会う約束をしたから、今は
離れていても平気だ。不思議だな?ランナーのすぐ近くにいたバーベキューの
鉄板の傍にいた時は、てんぱっちゃってランナーの前で冷静さを取り繕うだけで
精一杯だったが、今はランナーと離れているせいか冷静でいられるだけじゃなく
Dのアドバイスを思い出せる。一番大事なことはスカウトマンと新人女優の卵の
関係だった。俺がスカウトマン、新人女優の卵がランナー。ランナーの前で緊張
している俺は、まだスカウトマンになりきっていないということだ。どこかまだ
ランナーを自分の彼女にしてやろう。という下心があるんだろう。ランナーの前で
まだ緊張しているということは、マラソンでいえば試合がスタートしたばかりなのに
いいところをランナーに見せようとして、無理していつも以上の自分を演じている
からだ。だからてんぱっているんだ。今はマラソンレースの初期段階だ。目立たない
ようスタミナがあっても、飛び出さないよう、青年会の中でいなくてならない大事な
存在になるのが先決だ。)
                                  つづく