暖かく無関心なホットする人(P君)1006話

 午後5時15分、D君は会社の仕事が終わり、駐車場に歩いて行く途中リカちゃんに電話
を掛けた。「ブルルル、ディーン。」「リカちゃん、ちょっと僕たち今まで全力疾走して来たみたいだった。先週の土曜日、リカちゃんと二人っきりでケーキ屋デートしたけど、
それが僕たちの原点だと思った。夏休みの宿題を休みの始めにやってしまい、残りは遊んでばかりいる子供のようだ。僕はそうでもなかったけど、リカちゃんはクラス委員長っていうか、優等生だったでしょ。おまけにクラスのマドンナで男子の憧れの的だったでしょ。」「えー、褒めすぎ。」「多分そうだよ。こうしてリカちゃんと普通に話せるけど
、同級生なら遠くから片思いして見ているだけだったと思うよ。」「確かにクラス委員長
はやっていたけど勉強はそれほどでもなかったし、クラスの男子から告白されなかった。
」「クラスの男子から告白なんて難易度MAXだよ。」「そうなの?」「当たり前じゃん
、もしその女の子に振られたら学校に行くのは地獄だよ。チャンスは、その学校を卒業
する直前だけじゃないかな。」「そういえば思い出した、それまでクラスで何も思って
なかった同級生の男子から中学を卒業する日に告白された。」「で、その人とはどうなった?」「タイプじゃなかったし、進学する高校も違ったから、すぐ断ったけど。」「彼は
中学三年間、ずっとリカちゃんに片思いしていたんだろうね。」
                                     つづく