暖かく無関心なホットする人(P君) 6話

 教会に着ていく服も決まると軽く香水を掛けた。早く教会に行きたいが、まだ9時10分だ。今行けば早く着きすぎる。礼拝は10時30分からだから、9時40分ごろ出発すれば余裕
で着く。始まる前に少し彼女と話せたら、いいなと思っていた。そのことを考えていたら
心臓がドキドキしてきた。それは先週の教会クリスマスに出かける前の緊張ドキドキとは
種類が違う。35歳にもなって独身でいると、故郷に帰ると親が結婚しろと、うるさい目に合う、そうした理由もあって30歳ぐらいから、正月は故郷に帰らない事にした。会社
には気に入った子もいないし、かと言って婚活パーティーに行くほど焦っていないし、
どうした物だろう?と思っていた。とにかく出会いがない。そこにきて先週のクリスマス
だ。あの受付の女性達の左手をよく見ていなかった。なにせ、かなり緊張していたので、
そこまで余裕が無かった。でも顔は覚えている、一人はガッキーに似ていて、一人は波瑠
に似ていた。二人とも、かなりの美人だった。D君は波瑠似の子に惹かれていた。彼女達なら一流企業の受付にいても、おかしくないと思った。それより彼女達の明るい笑顔に、日頃の疲れが吹っ飛んだ。彼は早く教会に行きたくて、うずうずしていた。時間はまだ
9時20分だ。彼はTVを見て時間を潰すことにした。


                             つづく

暖かく無関心なホットする人(P君) 5話  

 年は明けて新年になった。先週はホワイトクリスマスだった。東京砂漠という言葉が
あるが、あの教会は砂漠の中のオアシスだ。今、住んでいるアパートに引っ越して来たのは今から5年ぐらい前。会社に通勤する時に、あの教会を見つけた。数年前から気になっていたが、なかなか何かの理由が無いと行く事は難しかった。でも先週初めて、あの教会
に行く事が出来た。まさに近くて遠いとは、こう言う事だろう。砂漠の中にオアシスを
見つけたが、足が思うように動かなくて、なかなかオアシスまで、たどり着けなかった。
 でも先週のクリスマスに、ようやくたどり着いた。そこには今まで出会った事の無い
ような人達がいた。この東京砂漠の中に、「あんなオアシスがあるなんて。」とD君は
思っていた。二回目からは、気楽に教会に行けると思い、彼はホッとしていた。先週の
緊張感は無かった。ここから2kmぐらいしか離れていない。あの教会に自分の居場所が
出来た。今までは会社と、このアパートしか居場所は無かった。でも、これからは、あの教会自分の居場所に加えよう。と彼は思った。
 時刻は午前8時、そろそろ朝食を食べよう。あの教会の礼拝は10時30分からだ。朝食は
決まっている。パンとコーヒー(ブラック)と卵焼きとチーズとミカン。近くのスーパー
で会社帰りに買ってきた。パンにはバターとブルーベリーのジャムを塗った。コーヒーグアテマラの豆が好きなので、インスタントのネスカフェゴールドブレンドにしている。
ゴールドブレンドはコロンビアとグアテマラの豆を使っている。お気に入りのメニューが
できた。部屋はコーヒーの香りがする。TVを見ながら、コーヒーとパンなどを食べた。
今日の天気予報を見ると、一日中快晴だ。そうこうしていると、もうじき9時だ。今日、
教会に着ていく服選びだ。彼は、まるでデートにでも出かけるように、ウキウキしながら
服を選んだ。ダサい服だと、ちょっと嫌だな、と思った。実は先週、教会の受付に座って
いた一人の女性に少し、ひかれていた。そんな訳もあって教会に行くのが楽しみだった。


                             つづく

暖かく無関心なホットする人(P君) 4話

 今日は2017年1月1日(日)、先週は初めて教会と言う所に行く事ができた。前から
一度、行ってみたかった。クリスマスのおかげで行くことが出来た。行く前から今日は
何か良い事が起こるような予感がしていた。その予感は当たっていた。先週の日曜日は
別世界に行ったような不思議な体験だった。それに、P君と言う素晴らしい人と知り合えた、もし自分が女性だったら好きになってしまうだろう。あの何とも言えない、暖かいんだけど、こちらが触れて欲しくない事に無関心で、一緒にいると安心感というかホットする感じ。また、あの教会に行きたい。あの教会にはP君と言う友達ができた。今年は何か
良い年になりそうだ。
                                                                                          つづく