暖かく無関心なホットする人(P君) 6話

 教会に着ていく服も決まると軽く香水を掛けた。早く教会に行きたいが、まだ9時10分だ。今行けば早く着きすぎる。礼拝は10時30分からだから、9時40分ごろ出発すれば余裕
で着く。始まる前に少し彼女と話せたら、いいなと思っていた。そのことを考えていたら
心臓がドキドキしてきた。それは先週の教会クリスマスに出かける前の緊張ドキドキとは
種類が違う。35歳にもなって独身でいると、故郷に帰ると親が結婚しろと、うるさい目に合う、そうした理由もあって30歳ぐらいから、正月は故郷に帰らない事にした。会社
には気に入った子もいないし、かと言って婚活パーティーに行くほど焦っていないし、
どうした物だろう?と思っていた。とにかく出会いがない。そこにきて先週のクリスマス
だ。あの受付の女性達の左手をよく見ていなかった。なにせ、かなり緊張していたので、
そこまで余裕が無かった。でも顔は覚えている、一人はガッキーに似ていて、一人は波瑠
に似ていた。二人とも、かなりの美人だった。D君は波瑠似の子に惹かれていた。彼女達なら一流企業の受付にいても、おかしくないと思った。それより彼女達の明るい笑顔に、日頃の疲れが吹っ飛んだ。彼は早く教会に行きたくて、うずうずしていた。時間はまだ
9時20分だ。彼はTVを見て時間を潰すことにした。


                             つづく