暖かく無関心なホットする人(P君) 8話

 D君は「今日は超ラッキーな日だ」と思った。昨年までは正月と言えば、TVを見たり
スノボーに友達と行ったりしたが、その親友も結婚してから家庭一番のマイホームパパ
になってしまった。30歳過ぎてスノボーに行っても若い頃と違ってあまり面白くない。
それで、ここ数年の正月はアパートに籠りっ放しだ、両親は「おせち料理」があるから
故郷の実家に来るように勧めるが、「おせち」につられて帰ったものなら、結婚結婚と
うるさく言われる。そのストレスを受けるぐらいなら貧しい食生活の方が、まだまし。と
彼は思い、ここ数年は故郷の実家に帰っていない。
 でも今年の正月は違う。ドミノ倒しのように先週のクリスマスから良い事が続く。
時間は10時15分。「そろそろ会堂に行きましょう。」とP君が言った。二人の女性は「
受付係なので、後から行きます。」と言った。
 10時30分になった。会堂は静まり返っていた。司会者が「それでは時間になりましたので、これより礼拝を行います。」と言って、「皆さん、ご起立してください。新聖歌
OO番。」と言いました。すると先週より多い60人ぐらいの人が居たと思う。先週は40人
ぐらいだった。多分、年末年始なので実家で正月を迎える、この教会のクリスチャンの子供達や、自宅は東京にあるが、仕事で正月ぐらいしか実家に帰れない、この教会の方々
だろう。
 P君は親切に今日も左隣の席に座って、新聖歌や聖書のページを開いて渡してくれた。


                             つづく