暖かく無関心なホットする人(P君) 7話

 時間は9時40分になった。よし、いざ出陣とばかりに鏡をみて髪をチェックして出かけることにした。彼は落ち着かないせいか、さっきから何度も忘れ物がないかチェックした。「よし、準備OK」と言って、アパートを出てドアをロックし、階段を下りて走るようにインプレッサに乗り込みエンジンを掛けた。
 先週と違い、あっという間に教会に着いた。先週は近くて遠かった教会も、今日は近くて近い教会に変わった。教会に着いて駐車場を見ると、まだ早いせいか車は3台だった。教会の隣に牧師館があり、そこに一台の車があった。ということは、まだ3人しか来ていないと思う。D君は車から降り、教会の入口に向かった。
 教会に入りドアを開くと、そこにP君と先週受付で会った二人の女性が立っていた。
彼らは満面の笑みで「来て下さってありがとうございます。」と言い「もし、お時間が
ありましたら礼拝後に青年会がありますので、それにも御出席して下さい。昼食も用意してあります。」とガッキー似の女性が言った。今日は心に余裕があるので、彼女達の左手をチラッと見ると、薬指に指輪は無かった。D君は「ありがとうございます。お言葉に甘えていいですか?」と少し照れながら言った。三人は「御一緒できてうれしいです。」と
言った。D君は、こんなに嬉しいのは久しぶりだ、と思った。


                              つづく