暖かく無関心なホットする人(P君) 592話

 午後8時、D君はアパートに帰って来た。彼は車の後部座席から掛布団2組と、トランクから枕とシーツと毛布2組を出して部屋に運んだ。それからブラックコーヒーを飲んで
自分に気合いを入れた。
 聖書を読む時間だ。今晩読むのは使徒の働き7章だ。7章は感動的な章だった。
議会に引っ張り出されたステパノはユダヤ人(イスラエル人)の祖父アブラハムからの
旧約聖書の歴史を語った。彼らは黙って聴いていたが、最後にステパノが「この正しい方を裏切る者、殺す者となりました。」とユダヤ人を責めると、彼らはキレた。キレるという事は、そう言う人の言う通りで、言い返すことが出来ないときに起きる。この場合は
ステパノの言う通りだったので、選択肢は2つあった。一つはステパノの言う通りだと
素直に認めて悔い改めること、もう一つはステパノの言う事が正しくても逆切れして、
耳を塞ぎ相手を亡き者にすること。残念ながら彼らの選んだのは後者だった。
ステパノの殺され方はイエス様に似ていた。
                                   つづく