暖かく無関心なホッとする人(P君)2554話

 午後1時40分、イノッチはあまりにもすんなり結婚を承諾してくれたことが信じられず
しばらくポカーンとしていた。もしかしたらこれは夢なんじゃないかと思い、手のひらを
つねってみると痛いので、やっと本当のことだと思えた。そのときまたD君のアドバイス
を思い出した。付き合いが長いのに結婚の話をもちださないのはNG。相手の女性に不安
を与える。また、プロポーズのとき相手に「返事はゆっくり考えた後でいいよ。」もNG
。相手が一番結婚したがっているプロポーズのとき返事を求めた方がいい。結婚は勢い
だ、とよく言う。相撲に例えればプロポーズは相手を土俵際まで追い詰めるのに似ている
そこで力を抜けば押し出せない。相手はそこで抵抗するかもしれないが、それに負けないで押し出すことが大事。昔あった大事マンブラザーズバンドの歌で、その歌詞に「負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じぬくこと、ダメになりそうなとき、それが一番大事」というのがあったが、これは付き合ってプロポーズしようとしている男性に大事なことを歌っていると思った。
とにかく精神的に強くならないといけない。イノッチは相手を土俵の外に追い出した。
相手に考えさせる時間を与えなかったのが勝因だった。相手に考えさせる時間を与えると
相手のマイナスポイントを見つけ、結婚熱が冷めてしまう。そんなことを思っていた。


                                    つづく