暖かく無関心なホッとする人(P君)2114話

 午後1時40分、D君は隆一達にメールをすることにした。


   「話してもOKな話題。」
 いよいよ明日は軽井沢旅行だね。ちょっと気が付いたことを書きたいと思う。
いままでよく彼女達の前で冷静でいてくれた。好きですオーラを出さないと、
気に入ってもらえないと今まで思っていたかも知れないが、それは逆効果なんだ。
それが証拠に今まで、その方法でナンパしてきて彼女が出来なかっただろう。でも
教会クリスマスで彼女たちに会ってから、今まで彼女たちに警戒感を抱かせないで
親密になってきた。こんなに順調に近づいて来れたのは初めてじゃないかな。でも
一番難しい恋愛初期、相手の事を好きになっても、それを相手に悟られないよう、
自分の好きですという感情を抑えて、冷静に付き合うことをクリアーしてきた。
今までで彼女達と友達になることにエネルギーを使って来た。でもこの期間に
ずっと留まっていると、二人の関係がそのまま固まってしまう危険性がある。
それで次の恋愛中期にすぐ移る必要がある。恋愛中期というのは友達以上恋人未満の
時期なんだ。相手の男性に親しみを感じているが、二人っきり彼氏彼女の関係に
なるには、まで決定打がない。グループ交際ならOK。TVのテラスハウスがこれだね。
これをリアルに体験するために軽井沢旅行を計画したんだ。1台の車に6人が乗る事も
意味があるんだ。こうすると初めからグループ交際が始まっている。グループ交際で
好きな彼女と親しくなる秘訣は人間関係を把握することなんだ。アリスちゃんは
リーナと仲がいいよね。同じ会社で年も同じくらい。リーナが一緒に居てくれるから
軽井沢に行く気になったんだ。だからリーナがこの軽井沢旅行のキーマンなんだ。
リーナと親しくなる。=アリスちゃんと親しくなる。なんだ。リーナと親しくなる事は
割合簡単だよね。リーナは既婚者だから適当な距離がよくわかるよね。リーナとは敬語
で話すよね。それが適当な距離なんだ。タメぐちは距離が近すぎる。自然に距離が
近づいてタメぐちになるならいいけど、お互いに相手の事をよく知らないのにタメぐち
で話されるのは、相手のパーソナルテリトリーに断りもなしに入るようで、不快感しか
ない。このパーソナルテリトリーというのは大事だよ。これはその人しか知らない秘密
や個人情報なんだ。例えばここに1件の家がある。隣の家とは境界線がある。隣の敷地に
入るのには、まず初めにインターホンを鳴らして「隣のOOですが、~~~~~~の用事
で来ました。~~~~~~」と言って相手の許可を取るよね。そうしないで、いきなり
隣の家の敷地に入ったらこれは犯罪だよね。これは皆わかっている。でも心理的にこれと
同じ事をしているのに自分では気が付かない人もいる。誰だって他人に触れてほしくない
ことはあるよね。一番困るのは人は会話が無くなるとパニックになって、何も考えないで
相手がその話題には触れてほしくない事を平気で話す事。これが地雷を踏むっていうやつ
だ。これをやっちゃうと相手との付き合いは修復不可能、The end.だよ。じゃあ言葉に
詰まった時どんな会話をすればいいかと言うと、自分の個人情報なんだ。これなら自分の
事だけなんで、相手は少しも傷つくことがない。これが自分の居てもいいエリア50%だ
。エリア50%って言う意味は、相手と会話しているとき心理的な境界線を意識すること
なんだ。そうすれば「ここまでは話していいけど、ここからは相手のエリア50%だから
聞いちゃいけない。」とわかる。自分のエリア50%って、自分の個人情報なんだ。実は
彼女達がこの軽井沢旅行で一番知りたいことがそれなんだ。でもお見合や婚活でもないのに、いきなりストレートに聞いてくると嫌な女に見られてしまう。だから彼女たちは相手の個人情報には触れず、相手からしかもさりげなく自分のことを話してもらいたいんだ。当然だよ。将来、自分の伴侶になるかも知れない人の、職業や年齢住所、家族構成、
趣味、暇なときは何をしているかとか。自然に話せるのが同じ車に乗ってドライブ出来るいい点じゃないかな。6人も車に乗っているから、誰かが喋っているから言葉に詰まる事は無いと思うよ。
                                by      D


                                                          つづく