暖かく無関心なホッとする人(P君)1956話

 午後5時、婦人会の方々が作った、美味しそうな料理が出来上がった。婦人会の方々に
混じって、青年会の女性陣9名も運ぶのを手伝ったので、あっという間に用意が出来た。
会堂の内部用のスピーカーからクリスマスソングが流れている。D君は思った。どうして
クリスマスシーズンだけは教会のハードルが下がって、人は教会に来やすくなるのだろうか?その答えが分かったような気がする。それは川の圧力のようだ。クリスマスシーズン
は川の流れが激しくなり、その川にいる人は川の激流に最初は流されないよう耐えているが、そのうち耐えるより流された方が楽だと思うようになり、クリスマスの元、教会に
向かって流されていく。だから教会に行くのがごく自然で、クリスマスなのに家にいる方がエネルギーを使い、精神的に疲れるんだと思う。
 会堂の内部と教会の外部の入り口近くに高さ2mぐらいのクリスマスツリーが飾ってある。外部に置いたクリスマスツリーには10cmぐらいの雪が積もっている。
 これでクリスマスムード満点だ。かつての自分はクリスマス恐怖症というか一人で
クリスマスを過ごすのが怖くて、隆一と聡と僕の彼女いない負け組3人で集まって
ワイワイ騒いでいた。お酒の飲めない僕は何時でも二人の運転手だった。とにかく早く
クリスマスが過ぎてほしかった。クリスマス台風でもあった、その圧力にこの先もずっと耐える事が嫌だった。そのくらいだったらクリスマス台風がどこから発生するのか、正体
が知りたかった。今、思うとクリスマスの起源も知らないでいる人々が哀れにさえ思う。
一枚のChristmasカードがそんな風に思っていた、教会に行ってみたい自分の背中を押してくれた。今度は僕が隆一と聡の背中を押す番だと思った。


                                つづく